日本トレーニング指導者協会参与 山本 利春氏

▼ JATIへの要望

トレーニング指導者に求められるものは何か?を今改めて考え直すときがきていると思う。トレーニングという言葉には、鍛えること、強化すること、育てること、教育することなどの意味があるが、その対象となるのは人であり、またその対象がトレーニングする目的はそれぞれ異なる。つまり、どう強化するのか、どう教育するのかを対象に合わせて、目的に応じた方法や指導法を考慮していく必要がある。

したがって、画一的な方法や型にはめた考え方に固執するのではなく、常に対象の目的やニーズに合わせた方法を模索しながら指導していくことが重要である。また、人の身体を変化、適応させるにはどのような刺激を与えるべきかの知識や技術を修得することが重要であることはもちろんであるが、指導者としての資質、伝える際の配慮や工夫、教え育てる役割であることの自覚を持つことも大切な要素であることを忘れてほしくない。

JATIの存在は、トレーニング指導者に求められる様々なニーズを得るための情報発信基地であり、人と人をつなぐ架け橋であり、人を育てる教室であり、人が集い情報交換し合う集会であり、現場の要求を常に意識した有機的なものであってほしい。

最も重要なものは「人」である。教える対象も人であり、教える立場の指導者も人である。人が協力しあい、組織することで大きな力を生み出す。そして、人が人を必要とし、人は自然と集い、魅力的な指導者に人は惹かれる。専門家としての能力を高めると同時に指導者としての能力も高めることを意識したい。

協会としての組織的な活動は、日本の現状を理解し、どのような形で現場の問題点を改善し、質的向上を図っていくのかを考慮しながら進めていくべきであろう。何のためのプログラムであり、何のためのセミナーであり、何のための資格なのか、何のためのトレーニング指導なのかを再考して、新たな日本の一分野を築いてほしい。

2006年8月10日

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